■プロジェクトメンバー
　(左から)工事課2G 河内 準、工事部長 植田 秀、工事課業務支援G 栁澤 一美

リニューアルのきっかけから入札まで

河内：MG目黒駅前の事務所区画は、好立地にありながら区画割が大きかったため、オーナー様から区画割改修などのご要望をいただきました。
既存天井高は梁下が2.4m弱と若干圧迫感のある空間になっていたことから、少しでも高さを確保する為に既存部分をどこまで取り払うことができるのかが大きなポイントでした。構造躯体を露わにするスケルトンデザインは見た目はかっこいいのですが、設備設計や断熱性能等の課題を解決せねばならず、全てにおいて建築業者泣かせのため提案には苦労しました。
植田：今回はコンペを通しての入札ということもあり、当社としても是が非でも落札したいと考え万全の体制で臨みました。
コンペ要綱の素案では消防法・建築基準法の排煙面積が確保できていませんでしたが、我々はそれを指摘し、改善提案しました。
オーナー様は、デザイン提案以上に「森ビルと言えば法令遵守」という印象を強くされ、当社の提案を総合的に評価してくださり、ご用命をいただくに至りました。

製品選定・施工計画を入念に

植田：オフィスに個室を設ける際、躯体への影響が少なく、プラン変更も比較的容易なパーティションシステムを採用することが多くありますが、見栄えのする全面ガラスなどを採用すると高価になります。シェアオフィスということから個室が多くなるため、デザインとコストのトータルバランスを満たす商品選定を慎重に行いました。今回はお客様が見つけてきた新商品を採用することになりましたが、メーカーの職人も発売後はじめての施工だったようで、思った以上に苦戦しました。さらに部屋が多くなるということは防災計画も複雑になりますので、施工難易度は高かったと思います。
栁澤：改修工事は、搬入・搬出時に営業している他区画との導線分離など気を配りますが、飲食店・事務所・住宅の複合施設は時間の制約も大きくなります。施工中も騒音、振動、臭気の影響が最低限になるよう気を配らなくてはならず、気苦労は絶えません。今回も飲食店のランチタイム中の工事に対する要望をいただきタイムスケジュールを組むのは大変でした。さらに設計が提示した新商品の納まりや設備との兼ね合いを早急に判断する必要があり非常に苦労した現場であったことは間違いありません。

＜個室の区画を新商品で施工＞

＜さまざまな働き方に対応したスペース＞

竣工後のアフターフォロー

栁澤：前述の通りMG目黒は複合施設のため設備も複雑で非常に多岐にわたる施工業者が出入りしました。約３ヶ月という長いようであっという間の工期でしたが、内装、間仕切、電気、空調、給排水、防災、および防犯の各施工業者間でスムーズに連携していただき無事竣工を迎えられたことに感謝しています。
河内：入居するテナント様のプランに合わせ、ビル設備を改修することも多々あり、管理会社へ引き継いだ後も操作説明などでテナント様のところへ出向くことはしばしばです。頼っていただけるということは設計・施工に対する仕事を評価されたからこそと思い、日々業務にあたっています。

＜カフェのような打合せスペース＞

プロジェクトを遂行するために大切なこと

植田：MG目黒は森ビルの管理物件ではありませんが、オーナー様に森ビルの施工、管理実績を評価いただいたことで当社にすべてお任せいただけました。我々が提案することに対し、発注者様から敏感に反応していただけることは非常に刺激になります。「こんなことをやりたいのだが」「この設備はどうやったら導入できるか」と課題を持ち寄っていただき、一緒に考えていくことで我々も日々成長できます。合わせて目標を達成するための時間軸を共有することで、実現に向け共に心をひとつにして邁進できると考えています。本案件の竣工は2019年でしたが、コロナウイルス感染症が流行する前でありながら、オーナー様の先見性もあって利用者が楽しく仕事に打ち込めるよう、卓球台を設置したりミラーリングモニターを採用するなど新しい時代の働き方に沿った空間が実現しました。